神田さち子さん 「帰って来たおばあさん」堺公演
2013.6.19 堺市立栂文化会館第ホール


「神田さち子さん、堺公演について   理事(イベント担当)・井上修一

会員の皆様にはお健やかにお過ごしのことと存じます。さて表題にあります「神田さち子さん、
堺公演」についてご案内申し上げます。
神田さんはプロフィールにもありますように、朝倉高校から西南学院大学を卒業し演劇の道へ
入られた方です。この度、堺市の「帰ってきたおばあさんを観る会」の事務局長浅田美奈子さ
んと知己を得、浅田さんたちが中心になって、6月に神田さんの堺公演を実施されようとして
おります。そこで関西あさくら会の皆様にもご案内を申し上げますので、ご興味のある方は是
非ご参加下さい。
「帰ってきたおばあさん」は、中国残留婦人の半生を一人で演じる芝居で、小生も数年前公演
の一部拝見しましたが、不覚にも落涙してしまいました。日本と中国とは現在非常に微妙な関
係に至っておりますが、この芝居には全く政治的な意図は含まれておりません。ただ運命に翻
弄された一婦人の生き様を、たんたんと演じておられます。よろしければ一度ご覧下さい。


■ 神田さち子さんプロフィール 
朝倉高校・西南学院大学卒業。「神田さち子語りの会」主宰。
奈良・東京で後進を育てる傍ら、「車いすの語り部」との二人三脚の歩みは有名。その体験記
が文部大臣賞受賞(1982年)。自主公演を精力的に行い1994年一人芝居「筑後川と源じいしゃ
ん」(甘木・朝倉)を上演。語り芝居「帰ってきたおばあさん」(第55回文化庁芸術祭参加作
品)は1996年初演より全国各地で絶賛上演中。1997年、アメリカのジャパンフェスティバル、
名古屋御園座出演、映画「ユリイカ」出演。関西テレビ、RKBテレビ、テレビ埼玉、テレQ、調
布ケーブルテレビ、ラジオ東京、NHK ラジオ出演。著書に「あなたに伝えたくて」「心のはら
っぱ−語り愛つむぐ」「奈良のむかし話」「奈良の伝説」ほか。






立派な会館でした。700名が入れる会場でしたがほぼ満席でしたね。


 
 

大学の先輩冨永さんも、奥様とお見えになってました。奥様は高校の先輩、井上隣のオジサンも、
高校の星野先輩です。神田さんは朝倉高校、西南学院大学のご出身なので、高校同窓会、西南学
院大学同窓会関係者も多数人来てました。

 
講演前の緞帳と、終了後支援者に挨拶している神田さんです。写真はボケてますが、本人は当然
ボケていません(と、思います)。


<観劇後の感想 井上修一>

私はミュージカルやコンサートは好きで良く行くのですが、退屈だと途中でうつらうつらする事
もあります。しかしこの芝居は、演技中涙が出ずっぱりでした。幸い会場は暗く、恥ずかし思い
はしませんでしたが、久しぶりに泣きました。テーマが重たいし、今の中国と日本の関係を思え
ば気乗りがしないという人が多かったのではないかと思いますが、この芝居が訴えているものは
忘れてはいけないなと感じました。
それは「戦争の犠牲者はいつも力の弱い庶民がなるのだ。」という事です。歴史上世界中で、国
の政策や社会情勢は、国を挙げて戦争へ突入する事態を幾度も引き起こし、未だに継続している
国々も存在しますが、その犠牲はいつも弱い者が引き受けます。戦争を企画し、人々を死地に追
いやる階層の人々は、決して息子を戦場には送りません。
神田さん演じる中国残留婦人は、中国で夫に棄てられた後、多くの中国人に助けられて激動の半
生を中国で送りますが、庶民同士が戦争をしている訳ではありません。どこの世でも、いつの時
代でも庶民は助け合って生きてゆくしかないのだと訴えます。
政治的な立場もあるので、この観劇のとらえ方は様々だと思いますが、神田さんが最後の舞台挨
拶で言っていた「政治的な動きがどうあろうとも、私は日中友好を草の根運動としてやっていく
つもりです。」という言葉には敬意を表します。
もう日本人は戦争を遠く忘れ去って、若い人々は飢え」の時代を知りません。食べ物もTVも無
く、本も無く「飢えた時代」はもう知らない日本人の方が多くなっています。若い男女は結婚せ
ず、結婚した一人の女性が産む子供の数は一人以下です。食糧自給率は40%を切っていますし、
就業人口は減り続けています。もし今再びあの時代が来たら、日本は一体どうなるのでしょう。
久しぶりに戦争について考えさせられた一日でした。





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